
❶腎泌尿器ってなに?
泌尿器科は尿路と呼ばれる腎臓、尿管、膀胱、尿道と男性器のうち外性器と呼ばれる精巣と陰茎、内性器と呼ばれる前立腺と精嚢、これに加えて腎臓のすぐ上にある副腎の病気を扱います。腎臓は尿の生成によって電解質や身体の中の水分量を調節し、またホルモンの分泌よって血圧をコントロールします。また、赤血球の量をコントロールするホルモンも分泌します。尿管は尿を貯める膀胱まで腎臓から尿を運び、尿は膀胱から尿道を通って体の外に出ます。精巣は精子を作ると同時に男性ホルモンの大部分を作りますが、男性ホルモンの一部は副腎でも作られます。副腎は他にも身体にとって極めて重要なホルモンを何種類も分泌しています。内性器と呼ばれる前立腺と精嚢は、それぞれ精子と共に精液の成分をなす前立腺液、精嚢液を分泌します。
❷病気から分かる腎泌尿器
泌尿器科では先に述べた臓器の感染症(炎症)や結石、良性腫瘍、悪性腫瘍(がん)、あるいは排尿障害や不妊症などの検査、診断、治療を行います。主だった病気とその診断について簡単に解説します。
病院実績・臨床指標
年間手術実績について
2018年2月(病院開設) ~ 2021年11月時点の手術実績を掲載しております。
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❸低侵襲医療からみる別府湾腎泌尿器病院
患者さんに寄り添う医療

私たちの目指すものは『低侵襲医療』※患者さんに少しでも優しい医療のご提供に努めてまいります。当院では以下の低侵襲医療機器を導入しています。
※手術・検査などに伴う痛みや発熱、出血などをできるだけ少なくする医療。
①“経会陰式生検を備えたKOELIS 社製TRINITY”を国内初導入
高精度前立腺ターゲット生検装置 TRINITY

「PSA (Prostate Specific Antigen: 前立腺特異抗原)が上昇している。」方は前立腺がんの疑いがあります。命に関わる「がんがあるかないか?」を診断する最も優れた画像検査はMRIです。しかしMRIだけで前立腺がんと確定診断する事はできません。「がんがあるかないか?」に加えて、「どの程度の悪性度であるか?」を正確に診断するためには、組織検査(針生検)が必要です。現在、前立腺の組織検査は、「がんができやすい場所」を狙ったランダム生検が主流です。MRI検査で「がんが疑われる場所」が特定できても従来の検査法では「疑わしい場所から正確に組織を採取する」ことは難しいことが知られています。
当院では高精度前立腺ターゲット生検装置「KOELIS 社製TRINITYシステム」を導入しました。「KOELIS社製TRINITYシステム」は国内で6番目(九州で初)※の導入ですが、これまで「経直腸生検」のみ可能であったのに対し、当院が導入した最新のシステムは「経直腸生検」と「経会陰式生検」の両方に対応します。国内で初の「経会陰式生検」が可能な最新のシステムは、従来の生検法と比較して、体に対する負担(侵襲)は同等であり、高解像度のMRI画像と3D超音波像の融合によって、より高い精度で「疑わしい場所から正確に組織を採取する。」ことが可能になりました。放置すれば命に関わる「がんを見逃さない。」、実際にがんのない患者さんには「命に関わるがんがない。だから安心して生活できる。」ことを十分に納得してもらえる理想的な前立腺組織検査装置です。最も優れた前立腺ターゲット生検システムを用いて、「前立腺がんかもしれない。」と悩んでいる患者さんに、より正確な診断と、その診断に基づいた適切な治療方針を提案する。それが私たちの重要な使命の1つと考えています。
※国内のKOELIS社製TRINITY導入施設
京都府立医科大学、JA岐阜中濃厚生病院、東京歯科大学市川総合病院、広島大学、済生会滋賀県病院、鳥取大学、別府湾腎泌尿器病院、トヨタ記念病院、大分大学、江戸川病院、川崎医科大学、埼玉医科大学国際医療センター、岩手県立中部病院、高知高須病院、九州大学 (2019年7月時点)
②前立腺がんや腎がんに対する腹腔鏡下手術支援ロボット
ダヴィンチ(da Vinci)

アメリカ発のダヴィンチ。近年、日本ではダヴィンチによる保険適用の手術が増えています。これは、既に進んでいる生活の欧米化によるものが影響していると考えられます。欧米で男性が発症するがんの中でも「前立腺がん」は高い罹患率と言われています。このような中、当院では患者さんにとって負担の少ない外科的治療の提供のため、大分大学医学部腎泌尿器外科の協力体制のもと、「手術支援ロボット(ダヴィンチ:da Vinci)」を運用しております。また、大分県下では大分大学医学部附属病院に続き、2番目の導入となります。当院のダヴィンチ執刀医は、腹腔鏡手術及びロボット手術に関する豊富な経験と実績を有した専門医師が行いますので、安心して手術をお受けいただけます。保険診療が認められている「前立腺がん」と「腎がん」の摘出術において、ダヴィンチを活用した手術療法の提供で患者さんに寄り添う医療ができるよう努めてまいります。
[ ダヴィンチの特徴 ]
ダヴィンチはロボット本体と操作台などで構成されており、コントローラの動きは、ロボットアームによってより小さな動きに変換されるだけでなく、手振れ防止機能により精密な操作性を可能にし、体の深い部分での手術が容易になります。1㎝ほどの小さな穴を4~5カ所開けて手術するので、傷口が小さく、手術後の回復が早いことが特長です。従来の開腹手術より患者さんへの負担が少ないといえます。
③手術用3D内視鏡システム
VISERA ELITE

がんなどの病変部摘出を目的に、腹部などに開けた数カ所の穴から外科手術用内視鏡と専用器具を挿入して 行う手術(内視鏡外科手術)が一般的に行われています。この手術方法は、開腹しないため、術後の痛み軽減や 早期回復などの効果が期待でき、患者さんの負担が少ない 低侵襲治療として知られています。最新の3Dシステムで、より詳細な観察が可能となり、安全かつ、効率的な手術が行えます。
④腎・尿路結石症に対して幅広く対応
体外衝撃波結石破砕術(ESWL)と 経尿道的尿管砕石術(TUL)

体外衝撃波結石破砕装置とホルニウムヤグレーザーを使用し、患者さんの結石治療の選択肢を広げ最適な治療を提案させていただきます。
結石の大きさにより日帰りも可能な体外衝撃波結石破砕術(ESWL)を、ESWLのみでは治療困難な症例でもホルニウムヤグレーザーを使った内視鏡によって経尿道的尿管砕石術を、低侵襲に破砕・摘出を行うことができます。
[体外衝撃波結石破砕装置のメリット]
■楽な姿勢での治療
患者さんは仰向けのまま、結石の位置によって腹部からも背部からも治療することができます。
■破砕率の確保
衝撃波ユニットの可動域が広く、身体にフィットしやすくなっており、高い破砕効果を得ることができます。
■忙しい患者さんのご都合に合わせた治療
結石の部位とサイズによりますが、会社を休まず治療を行うことができます。退院後、すぐに日常生活へ戻ることも可能です。
⑤傷が目立たない
Reduced Port Surgery
当院では細径鉗子を用いて、傷が小さく整用性(コスメティック)に優れた侵襲の少ない手術が可能です。


❹別府湾腎泌尿器病院の泌尿器科医師
医師紹介

佐藤 文憲
Fuminori Sato
別府湾腎泌尿器病院 院長
大分大学医学部腎泌尿器外科 特任教授
大分大学医学部臨床教授
[ 卒業大学 ]
大分医科大学医学部
[ 専門医・認定資格 ]
<資格>
□医学博士
□日本泌尿器科学会 専門医・指導医
□日本泌尿器内視鏡学会
腹腔鏡技術認定医
□日本内視鏡外科学会
泌尿器科領域 技術認定医
□日本がん治療認定医機構
がん治療認定医
□日本移植学会 移植認定医
□日本臨床腎移植学会 腎移植認定医
□日本透析医学会 認定医・指導医
[ 所属学会 ]
□日本泌尿器科学会
□日本泌尿器内視鏡学会
□日本泌尿器腫瘍学会
□日本老年泌尿器科学会
□日本排尿機能学会
□日本内視鏡外科学会
□日本ロボット外科学会
□日本移植学会
□日本臨床腎移植学会
□日本癌学会
□日本癌治療学会
□日本透析医学会
□日本クリニカルパス学会
□AUA (American Urological Association:
米国泌尿器科学会)
□EAU (European Urological Association:
欧州泌尿器科学会)
□SIU (Société Internationale d’Urologie:
国際泌尿器科学会)
□Endourological Society [米国]
□Society of Laparoendoscopic Surgeons [米国]

秋田 泰之
Yasuyuki Akita
別府湾腎泌尿器病院 泌尿器科部長
大分大学医学部臨床准教授
[ 卒業大学 ]
大分医科大学医学部
[ 専門医・認定資格 ]
□医学博士
□日本泌尿器科学会 専門医・指導医
□日本小児泌尿器科学会 認定医
□日本泌尿器内視鏡学会
泌尿器腹腔鏡技術認定医
□日本内視鏡外科学会
技術認定医(泌尿器腹腔鏡)
[ 所属学会 ]
□日本泌尿器科学会
□日本小児泌尿器科学会
□日本泌尿器内視鏡学会
□日本内視鏡外科学会

岩﨑 和範
Kazunori Iwasaki
別府湾腎泌尿器病院 泌尿器科
[ 卒業大学 ]
大分大学医学部
[ 専門医・認定資格 ]
□医学博士
□日本泌尿器科学会 専門医・指導医
□日本泌尿器内視鏡学会
泌尿器腹腔鏡技術認定医
□日本がん治療認定医機構
がん治療認定医
□ロボット(da Vinci)手術認定医
[ 所属学会 ]
□日本泌尿器科学会
□日本泌尿器内視鏡学会
非常勤医師

田﨑 義久
Yoshihisa Tasaki
玄々堂泌尿器科 院長